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すでに実例があります

 「夢物語ではないか?」と思われるかもしれません。しかし、このローカルフードへの転換は国内外ですでに生まれ始めています。そして、急速に伸びています。

 たとえば、ブラジルでは2003年に農家が持つ在来種の種採りの権利を守る政策が始まり、化学肥料や農薬に頼らないアグロエコロジーによる生産を進める農家が急速に増加しました。イタリアでは地域で大事なタネを地方自治体が守るための条例を作り、有機農業生産がとても伸びています。お隣、韓国でも多くの地方自治体が在来種保全・活用条例やローカルフード促進条例を制定し、地域での農業がとても活発の伸びています。

 そして、日本でも画期的な成功例が生まれてきています。たとえば愛媛県今治市。2006年に「今治市食と農のまちづくり条例」が作られ、地域での農業と学校給食が基軸となって、食と農が発展を遂げてきています。千葉県いすみ市では2014年に地域の農家が作る有機米を学校給食で活用する事業が始められ、2018年にはいすみ市小中学校で使われる学校給食のお米はすべて有機米にすることに成功しています。

 学校給食が推進エンジンとなり、その後、地域の食も変わり始めたことを今治市では見ることができます。

 また、他の地域では農家や市民によってさまざまな試みがされています。

 農家、市民、企業、行政が協力することで、個々では難しい地域で循環する食のシステムを作ることは可能になります。