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地域循環する食のシステムはなぜ必要か?

 今、世界でローカルな食のシステムを作ろうという声が上がっています。その方がより確実で安全に食が確保でき、しかも地域の人の職も確保できるからです。

 第2次世界大戦後、世界は穀物生産地域と消費地域の分業体制が生まれ、特に日本は大量の穀物輸入で成り立つ国となっていきました。先進国の多くの国では食料自給率が高まっているのに、日本では逆に低くなっています。

農水省:日本の食料自給率
農水省:日本の食料自給率 https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/012.html

 特に南北アメリカ大陸は世界に穀物を輸出する一大穀倉地帯となりました。しかし、戦後の大規模に同じ作物ばかり大量生産する農業は環境に与える影響が大きく、特にアメリカ中西部では土壌が大量に失われ、すでに半分程度が失われてしまったと言われています。土がなくなれば農業はできなくなります。つまり、このままこれまでと同じように生産できる状態ではなくなってきています。土壌が壊れるだけでなく、また、大量の化学肥料や農薬を使う工業的農業によって、気候変動を引き起こす温暖化効果ガスも大量に発生させてしまっています。その結果、大きな自然災害も頻発してしまっています。地球の裏で獲れた穀物を船で運ぶためには大量の燃料が必要です。大変なエネルギーを使ってしまいます。それは気候変動をよりひどくします。

 戦後長く続いたこの世界的な食料生産体制がもう長く持たせることができなくなってきたことが明らかになってきました。もはや、食料の輸入に頼ることはできない時代が迫ってきているのです。

 その意味でも、海外の生産に依存しない、地域での食の生産に依拠する大きな食のシステムの再構築が今、喫緊の課題となっています。