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実現をめざすローカルフード法・条例とは?

 地域で必要で可能なものはできるだけ地域で、あるいは近郊で作れるようにする、日本国内で日本の必要とする食を作れるようにするために必要な法律がローカルフード法です。地域での食料自給率を上げ、日本全体の自給率も上げることも大きな目的の1つになります。
 そして、地域の多様な食を可能にして、それに携わる農家、食品に関わるさまざまな人の連携を可能にするための法律です。タネから消費まで地域で食に関わるすべての人を守り、環境を守り、健康を守って、うまく連携できるために作られます。

在来種を含む地域の種苗の確保と活用

 これまで地域で大切にされていたタネが急速に姿を消しています。100年で7割から9割近いタネが失われてしまったと言われています。タネはより少ない企業が握るものとなり、それまで地域で生かされてきたタネが失われてしまっているのです。でも、その中には地域の食文化で重要な役割を果たしていたものが少なくありません。その地域の気候や土に合って、化学肥料入れなくてもしっかり育つタネが減っていくことは、今後大きな問題です。
 なぜ、タネが消えていくか、種採りは大変です。種採りを大事にして、そうした活動を支援しなければやがて多様なタネは失われてしまいます。このようなタネを守る法律は日本にはありません。タネの基本法として、地域の種苗を育てることを支援するローカルフード法が今、必要とされています。

地域の農家を守ります

 急速に数が減る農家、地域の農業を守るためのさまざまな支援策が必要です。農業生産がなければ社会はなりたたないからです。なかでも小規模家族農家の存在が国連でも重視されています。規模に関わらず農家が地域で生き生きと、続けられるように、支援することが必要です。地方自治体が地域の農業を守る上では、重要な役割を果たしますが、その地方自治体の施策を国がバックアップする必要があります。

安全な食の確保

 化学肥料や農薬の使用が大きな問題となっています。また、安全性が十分確認されていないゲノム編集などの遺伝子操作された食品が増えつつあります。そうした危険な要素を可能な限り、減らし、昔ながらの安全な食の確保を現在から未来に向けて、確保する政策を勧めます。

学校給食を無償で可能な限り有機に

子ども by Naomi Shi

 地域で可能な限り化学肥料や農薬を使わないで栽培された農作物を国や地方自治体が学校給食などのために買い上げる公共調達政策は地域の農家を支える上でも、また食を安全にしていく上でもとても有効な政策になります。世界でも、学校給食がきっかけとなって地域の農業が盛んになってきたところは数多くあります。

地域の食のシステムを再構築します

 地域の消費者、農家、漁師、学校、病院、流通企業、食品企業など多くの人たちが関わって、地域で食の循環が進むように協力することが必要です。たとえば国産小麦がほしい、と消費者が思っても、現在の小麦のほとんどは輸入で海外から輸入される膨大な量を製粉する製粉場しかないと、地域の農家がいくら作っても小麦は無駄になってしまいます。地域の製粉場を回していくためには、その製粉場から定期的に買うパン屋さんの協力も必要になります。数多くの人たちを結びつけて始めて地域の食のシステムは回り始めます。
 地域で何が必要か、そうしたことを持ち寄り、解決する食料政策協議会(ローカルフード委員会)を作ることが有効な手段となるでしょう。
 そうした仕組みを作ることで地域の食のシステムを再構築して、回していきます。そしてそれは地域での職も作り出すことでしょう。

気候変動や国際紛争を未然に防ぎます

 グローバルな食のシステムからローカルな食のシステムに転換することで、環境問題も、食料問題も、健康問題も、経済問題も解決する糸口がつかめます。生態系にやさしい農業を進めると、土が息を吹き返します。炭素をたっぷり含んでいき、気候変動も緩和していく力を持ちます。そして、それは、資源をめぐる争いを減らし、国際紛争も防ぐことにつながります。